2ndSTORY:進路








高校の一年とは早いもので、あっという間に冬が訪れた。
新入生歓迎会、オリエンテーション、文化祭、体育祭、球技大会。
様々な行事を終え、文理選択が迫っていた。
そんな日、個人面接が行われることになった。




「相田さんは成績も良いし、どっちかっていうと理系だね」
「そうですか」
「進路は、医学部になってるけど?」
「・・・はい」
「じゃあ理系の方向でいいかな?」
「・・・・はい」




京子の父は有名な外科医で、母は外資系の企業に勤めている。
父から将来は医師になれと、耳にたこが出来るくらい言われいた。
京子自信も、なりたくないわけではなく、嫌々勉強をしている訳でもなかった。




「理系か〜」




担任に進められた通り、理系に進むのも悪くないと思っていた。
実際、理系科目は満点に近い点数を取っていたし、数式は嫌いではなかった。
かといって、文系科目にも自信があった。
ただ、社会を除いては。




「理系なんだ」




見覚えのある身長に、セットしているのか分からない髪の毛。
不覚にも入学式の日にお世話になってしまった先生。
確か名前は・・・




「三島だ」
「あ、何。覚えてたの。しかも呼び捨てだし」
「笑われましたから」
「だって面白かったもん」
「三島先生って二年生の先生ですよね」
「そうだけど?」
「文理の選択って重要ですか?」
「そりゃーね。将来に関わることだし」
「・・・ですよね」
「悩んでんの?」




京子は口を開こうとして、止めた。
悩んでる、といえば悩んでいるのかもしれない。
でも、理系に進むことが不満でもない。




「お前、成績良いらしいな」
「何で知ってるんですか?」
「先生の間では評判だよ」
「へぇ」
「お前、勉強は好きか?」
「はい、好きですよ」
「うわっ変な奴」




そういってケラケラと笑い出した。
三島は笑いを止めて、静かに話し初めた。




「なら、どっち行ってもいいんじゃね?」
「へ?」
「勉強好きなら、どっちでもいいだろ」
「どっちでも、ですか?」
「あぁ」
「でも・・・」
「何でそんなに悩んでるんだ?」
「それはっ・・・」




今まで誰にも話したことのない京子の心の内を初めて明かす。
父のこと、母のこと、自分がしたいこと。
本当は誰かに聞いて欲しくて、でも、言えなかった。
自分には決められたレールを走っていくものだと、そう思っていたから。
































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2/13:2ndSTORY完成
誤字脱字など御座いましたら御連絡下さい。
急に1年過ぎました(笑)
ま、気にせずに(^^)
あと、主人公の女の子の名前変えました。
色々変更しました。
一気にアップしたいと思います。
読んでくれてありがとうございました。

09.2/13:樹

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