1stSTORY:出逢い








朝焼けと夕焼けが綺麗に光る河原
踏み切りを渡ると、そこには桜の並木道
そこを抜けると新しく通う高校








四月、入学式の日
壊れた目覚ましに頼らなければ、と急いで家を出る。
不幸はこれだけでは終わらない。
自転車で10分もあれば行ける、そう思い自転車に乗り込む。




「パ、パンクしてやがる・・・!!」




そうこうしている内に早5分。
本来なら歩いてゆっくり行くのが理想だ。




「走るか・・・」




歩いて20分、走って15分といったところだろうか。
とにかく、入学式まではあと20分。
ギリギリか、そんなことを思いながら走ることにした。












やっとの思いで学校に着き、入学式5分前。
本当に着いた。と、思いながら急いで門をくぐる。
門の前には、人が立っていた。
身長は大体175センチ前後くらいで、眼鏡。
髪型は・・・寝癖?天パ?




「ん?お前新入生?」




スーツを着た男が眉をしかめて尋ねた。




「そうです。」
「入学式始まってんぞ」
「は?あと5分ありますよ。」




男はどうやら先生らしい。
はー?と言いながら時計を見る。




「いやもう始まってるね。10分過ぎてる」
「いやまだ5分、あ4分になった。」
「いやいや、見てみ。過ぎてるだろ」
「はー?その時計おかしいんですよ」
「何言ってんだよ。その時計の秒針の進み方の方がおかしいっつーの」
「おかしくないし!だってこれー」




時計を見てみると、やはりおかしい。
1秒進んで、2秒戻る。
また1秒進んで、2秒戻る。




「こ、壊れてる・・・」
「な?言ったろ?」
「ってゆーか、先生ですか?」
「そうだけど?」
「こんな所に居ていいんですか?」
「俺は見張りなんだよ。」
「見張り?」 
「お前、相田 京子だろ?」
「は?何で名前・・・」
「答辞」
「!!?!?」
「な。」




とにかく学校に行くことだけが頭にあって、答辞のことなどすっかり忘れていた。
急いで鞄の中を探る。が、肝心の答辞の紙がない。
ファイルの中、鞄の小ポケットの中、スケジュール帳の間。
どこを探しても、紙は見つからなかった。




「ない・・・」
「あはははは!!」
「何が可笑しいんですか!!」
「忘れたの?」




笑いを堪えながら尋ねられ、口元を歪めながら頷いた。
すると再び笑い出し、目には涙を浮かべていた。




「あー面白かった。」
「むかつく野郎だ」
「何か言った?」
「いえ別に?」
「心配しなくても、代理の子が読んでるよ」
「紙ないのに?」
「お前のをコピーしたやつがあったから」
「あ、そうですか」
「ま、とりあえずお前は職員室に連行な」




仕方なしに先生についていくことにした。
スタート早々、災難続きだった。
寝坊はするわ、パンクはするわ、全力で走って、間に合ったと思いきや、式は始まってるわ、時計は壊れてるわ、むかつく先生に出くわすわ、答辞のこと忘れて・・・
こんな最悪な日は、今まで無かったと、気を落とした。






入学式が終わった先生方がゾロゾロと職員室に入ってきた。




「相田さんだね?」
「あ、はい…すいません・・・・」
「以後気をつけるように。私は主任の兼平です。」
「宜しくお願いします」
「こちらは君の担任だよ」
「谷村です、よろしくね」
「はい、宜しくお願いします。」
「じゃ、教室に行こうか。」
「はい」
「あ、三島先生、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「い〜え」




さっきの先生はどうやら京子の担任ではなく、2年生の担任だった。
三島先生若いでしょ〜。と、谷村先生は言った。
谷村先生も若いですよと、軽くお世辞を言うと、
僕と違ってモテるからね。
谷村先生はそう言って、教室に入っていった。
京子から見れば、先生という存在は大人で、それでいて先生で。
先生から見れば京子達は大切な生徒で、それ以上でもそれ以下でも無かった。










こうして、新しく高校生活がスタートしたのだった。






























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2/12:1stSTORY完成
誤字脱字など御座いましたら御連絡下さい。
あと、時間の計算はしないで(笑)
多分合わないから(笑)
何かしっくりこない出だしですが、頑張ります。

09.2/12:樹

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